Vol.13 大久保秀夫 3/11
2010.08.13 Friday

“二度とあんな屈辱はごめんだ”という
いい知れない恐怖に勝てなかった
●高校受験に失敗すると、どうなるのでしょうか? 困ったことになったのですか?
高校受験に失敗した僕は、もう中学浪人しながら働くしかないなと思っていたのですが、たまたま二次募集をしている高校があり、そこに入学することができました。なんとか拾ってもらったという感じでしょうね。そんなことがあったから、高校に入ってからはよく勉強しましたよね。僕が入学した高校は、國學院久我山という学校だったんだけど、陸上と野球とラグビーがとても強い学校でね。陸上にも真剣に取り組みました。
それから時は流れて、今度は大学受験のシーズンがやって来ました。僕はある大学を受けようと心を固めました。勉強も一生懸命やったおかげで、十分合格圏内にも達していました。ところが、受験がどんどん近づいてくるに連れて、僕はだんだんその学校を受験することが怖くなってしまいました。僕はそれまで、一度たりとも、人生から逃げたことがなく、そのことを誇りに思っていました。
ところが「受験しなくても、いまのままなら國學院大學の特待生になれる。一流大学にやっと入るより、そこよりレベルが下がってもトップを取るほうがいいんだ!」なんて変な言い訳ばかりが頭に浮かんで来るんですね。要するに、中学受験の失敗がトラウマになっていたんです。あんな屈辱は二度と味わいたくない、また、落ちることになったらどうしよう……。そんな感情がどうしようもなく襲ってくるんですね。

●なるほど。意思の強そうな大久保さんにしては確かに珍しく弱気な印象です。
そうなんです。けれども、“一度死んだ人間が何を恐れることがあるんだ!”と自分を鼓舞しようとするのですが、ダメでした。言いようのない恐怖で、身動きが取れなくなりました。怖かったですね。まわりの友だち連中が希望の大学へと進学していく中、僕は結局、受験を避けて國學院大學に進学しました。この大学受験は、僕が人生で唯一逃げてしまった出来事かもしれません。僕の性格をよく知っている両親を含め、まわりの人たちはみんな不思議がっていましたよね。
そんなふうにして大学に入学したものだから、僕はすっかりふぬけた人間になってしまいました。特待生という立場でしたし、成績もオールAで非常によかったのですが、勉強をバカにするようになっていました。フラフラとアルバイトばかりして、人生を舐めきったような態度を取っていたように思います。この大学受験からの2年間のことは、いまでも本当に後悔しています。
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